10. 計算 Job の実行

注釈

本章は Quloud Ver.7.0 を対象としています。記載内容の確認日は 2026 年 9 月 14 日です。



10.1. 概要

登録した計算 Job を実行します。手順は 2 段階です。

  1. 「Run Job」で計算リソース(CPU / HPC / GPU)と実行時間の上限を選ぶ

  2. 「実行」で Job を投入する

実行するとポイントを消費します。消費量の見積もりは投入前のダイアログに表示されます。

注釈

Ver.6.1.2 では、MPI 数・スレッド数・ノード数・計算時間の上限を数値で入力する フォームでした。Ver.7.0 では、あらかじめ用意された構成をカードや表から選ぶ方式に 変わり、選んだ構成の 1 時間あたりのポイント単価と、指定した実行時間での上限消費 ポイントがその場で表示されます。従来どおり数値で指定したい場合は 「詳細設定を開く」から入力できます。



10.2. 前提

  • 実行する Job が登録されていること(計算 Job の登録 の章)。Status が 「Registered」の Job だけが実行できます

  • テナントが利用制限中でないこと。ポイント残高がない、ストレージの上限を超えている、 契約期間外のいずれかに当てはまると、画面上部に「このテナントは利用制限中です」と 表示され、Job を実行できません

  • 実行に必要なポイントが残っていること(この章の「ポイントの消費」節)



10.3. 操作手順


10.3.1. 1. 実行する Job を開く

Material 詳細画面の左のメニューで「ジョブ」を選び、一覧から Job 名を押します。

Status が「Registered」の Job では、画面右上に「Run Job」が表示されます。

Status が Registered の Job 詳細画面。右上に「ジョブを編集」「ジョブをコピー」「Delete Job」「Run Job」のボタンが並び、「ジョブ概要」のステータスが Registered、開始日時・終了日時・経過時間はいずれも「-」になっている。「Results」には「ジョブはまだ実行されていません。」と表示されている。

図 10.1 Status が Registered の Job 詳細画面

ジョブ一覧の右端にある「⋮」から「実行」を選んでも、同じダイアログが開きます。


10.3.2. 2. 計算リソースを選ぶ

「Run Job」を押すと「ジョブ投入 — インスタンス選択」ダイアログが開きます。 上部の「CPU」「HPC」「GPU」で区分を切り替え、その中から構成を 1 つ選びます。

「ジョブ投入 — インスタンス選択」ダイアログの CPU タブ。2・4・8・16・32・64 vCPU の 6 枚のカードが並び、それぞれにメモリ容量と 1 時間あたりのポイント単価が表示されている。2 vCPU のカードが選択されている。下部に「実行時間上限(--time)」の入力欄と「上限消費ポイント目安(指定時間で強制終了)」が並ぶ。

図 10.2 「ジョブ投入 — インスタンス選択」ダイアログ(CPU 区分)

各カード・各セルには 1 時間あたりの消費ポイントが表示されます。右上の 「時間ベース」「分ベース」を切り替えると、単価の表示と実行時間上限の単位が 時間と分で入れ替わります。


10.3.2.1. CPU 区分

1 ノードで完結する計算に使います。2・4・8・16・32・64 vCPU の 6 種類から選びます。 メモリは vCPU 数に応じて決まり、2 vCPU で 4 GiB、64 vCPU で 128 GiB です。


10.3.2.2. HPC 区分

複数ノードを使う計算に使います。「標準」(1 ノードあたり 64 vCPU / 128 GiB / 200 Gbps)を 1・2・4 ノード、または「ハイエンド」の 2 種類を 1・2・4 ノードから 選びます。

ジョブ投入ダイアログの HPC タブ。「標準・64 vCPU / 128 GiB / 200 Gbps」の 1 ノード・2 ノード・4 ノードのカードが並び、2 ノードが選択されている。その下に「ハイエンド」の表があり、High(96 vCPU / 192 GiB / 300 Gbps)と Extra High(192 vCPU / 384 GiB / 600 Gbps)の行に対してノード数 1・2・4 の列のポイント単価が並ぶ。さらに下に「配置(2 ノード以上)」の「近接(高速)」「分散(確保優先)」の選択が表示されている。

図 10.3 HPC 区分(2 ノードを選んだ状態)

ハイエンドは次の 2 種類です。

種類

1 ノードあたりの構成

High

96 vCPU / 192 GiB / 300 Gbps

Extra High

192 vCPU / 384 GiB / 600 Gbps

2 ノード以上を選ぶと「配置」が現れます。 「近接(高速)」はノードを物理的に 近い位置にまとめて確保するためノード間通信が速くなり、「分散(確保優先)」は 確保しやすさを優先します。


10.3.2.3. GPU 区分

GPU を使う計算に使います。機種(GPU メモリ)と GPU 数の組み合わせを表から選びます。

ジョブ投入ダイアログの GPU タブ。「機種 \ GPU 数」の表があり、Middle High(24GB・A10G)、High(48GB・L40S)、Extra High(96GB・RTX 6000)の 3 行に対して 1 GPU・4 GPU・8 GPU の 3 列のポイント単価が並ぶ。Middle High の 1 GPU のセルが選択されている。

図 10.4 GPU 区分

機種

GPU メモリ

選べる GPU 数

Middle High

24 GB(A10G)

1 / 4 / 8

High

48 GB(L40S)

1 / 4 / 8

Extra High

96 GB(RTX 6000)

1 / 4 / 8

GPU 区分を選べるかどうかは、実行するソフトウェアによって異なります。 対応していない ソフトウェアでは GPU タブ自体が押せない状態になり、タブにカーソルを合わせると 「この計算ソフトウェアはGPU区分に対応していません」と表示されます。

対応している場合も、選べる GPU 数はソフトウェアによって 1 基だけに絞られることが あります。選べない枚数の列は押せない状態になり、絞られている場合は表の下に選べる 枚数が注記されます。


10.3.3. 3. 実行時間の上限を決める

ダイアログ下部の「実行時間上限(--time)」に、計算を打ち切るまでの時間を入力します。 上限は区分によって異なります。

区分

実行時間上限の最大

CPU

72 時間

HPC

48 時間

GPU

48 時間

上限に達した計算は強制終了されます。 途中結果は残りますが、計算そのものは 完了しません。右側の「上限消費ポイント目安」は、選んだ構成の単価にこの時間を 掛けた値です。


10.3.4. 4. Job を投入する

「実行」を押すと Job が投入されます。「ジョブを投入しました。」と表示され、 Status が「Submitted」に変わります。

ポイントの残高が「上限消費ポイント目安」に満たない場合は投入されず、 「実行に必要なポイントが不足しています。」と表示されます。



10.4. 詳細設定

MPI プロセス数・スレッド数・メモリ・実行時間上限(秒)を直接指定する場合は、 ダイアログ右上の「詳細設定を開く」を押します。

「計算リソース詳細設定」の画面。右上に「CPU区分」のバッジと「簡易設定に戻る」のリンクがある。「並列数(最大: MPIプロセス数 × スレッド数 = 64)」の下に、MPIプロセス数、スレッド数、ノード数、必要 vCPU 数、メモリ (GB)、実行時間上限 (秒) の入力欄が並ぶ。ノード数と必要 vCPU 数は入力できない状態になっている。

図 10.5 計算リソースの詳細設定

  • 直前に選んでいた区分の値が初期値として入ります。区分は右上のバッジで確認できます

  • 「必要 vCPU 数」は MPI プロセス数・スレッド数・メモリから自動で決まります。 直接は入力できません

  • 実行時間上限は秒で指定します。最大は 259200 秒(72 時間)です

  • 「簡易設定に戻る」を押すと、カードや表から選ぶ画面に戻ります



10.5. 結果

投入した Job の Status は、計算の進行に従って次のように変わります。

Status

状態

Registered

登録しただけで、まだ実行していない状態です。この状態の Job だけが実行できます。

Submitted

計算サーバに投入され、実行の順番を待っている状態です。

Prepared

まれに現れる状態です。計算サーバのノードに異常が起きたときに設定されます。

Running

計算を実行している状態です。

Succeeded

計算が正常に終了した状態です。

Failed

計算が異常終了した状態です。

Timeout

実行時間の上限に達して打ち切られた状態です。

Cancelled

キャンセルされた状態です。

Status と実行の時刻は、Job 詳細画面の「ジョブ概要」で確認できます。

計算が正常に終了した Job 詳細画面。「ジョブ概要」のステータスが Succeeded、開始日時・終了日時・経過時間(10.387 秒)・ソフトウェア・ワークフロー・作成日・更新日が並ぶ。その下に緑色の「計算結果 OK」のカードがあり、コードとして QE_SUCCESS が表示されている。さらに下の「Results」にステップ 1 から 3 のタブと「結果を解析」ボタンがある。

図 10.6 正常に終了した Job のジョブ概要

「経過時間」は開始日時から終了日時までの秒数です。Job を投入してから終了するまでの 時間には、計算サーバへの受け渡しや結果の取得にかかる時間も含まれるため、 「経過時間」とは一致しません。

実行時に指定した計算リソースは、左のメニューの「計算」から確認できます。

Job 詳細画面の「計算」の節。「計算リソース」のカードに、計算プラットフォーム(Small Test)、CPU Type(graviton)、ノード数(1)、MPIプロセス数(4)、OpenMPスレッド数(1)、Memory (GB)(8)、実行時間制限 (秒)(86400)が表で並んでいる。その下に「ログ」の節がある。

図 10.7 実行に使った計算リソース

計算結果の見かたは 計算結果の可視化 の章で説明します。

注釈

Job 詳細画面を開いている間、Status が「Submitted」「Prepared」「Running」の いずれかであれば、この画面は約 20 秒ごとに自動で更新されます。 「ジョブ概要」の Status・計算ログ・ファイル一覧のいずれも、画面を再読み込みしなくても最新の状態に 変わります。自動更新は、この画面をタブで表示している間だけ働き、他のタブに 切り替えている間は止まります。

一覧画面(プロジェクトのジョブ一覧、ホーム画面のジョブ一覧など)は自動では 更新されません。 Status の変化を確認するには、画面を再読み込みしてください。

計算ログは Job 詳細画面の「ログ」で確認できます。実行中の Job では、画面を 表示している間、ログも約 20 秒ごとに自動で末尾が更新されます。 ログの中身の 見かたは 入出力ファイルとログ の章で説明します。



10.6. Job のキャンセル

Status が「Submitted」「Prepared」「Running」の Job には、画面右上に 「ジョブをキャンセル」が表示されます。押すと計算サーバ側で計算が打ち切られ、 しばらくすると Status が「Cancelled」に変わります。確認のダイアログは出ません。

ジョブ一覧の「⋮」から「キャンセル」を選んでも同じです。

キャンセルした Job も、実行していた時間の分だけポイントを消費します。



10.7. Job の継続実行

OpenMX と HybMD の Job に限り、終了した計算の続きから実行し直せます。継続元にできる Status はソフトウェアによって異なります。

ソフトウェア

継続元にできる Status

OpenMX

Failed / Timeout / Cancelled

HybMD

Succeeded / Failed / Timeout / Cancelled

上の Status に当てはまる Job には、画面右上に「Continue Job」が表示されます。

  • 押すと「Run Job」と同じダイアログが開き、計算リソースと実行時間の上限を 選び直せます

  • 元の Job の実行結果を引き継ぐため、入力条件は変更できません

  • 継続して実行した Job は別の Job として作られ、Job 詳細画面の「継続履歴」に 継続元との関係が表示されます

HybMD では、正常終了した MD 計算をさらに継続して延長する使い方もできます。

継続できない Job では「Continue Job」は表示されません。



10.8. ポイントの消費

Job の実行ではポイントを消費します。残高はヘッダーの「利用情報」(ⓘ)と、 「利用状況」の画面で確認できます(ヘッダーメニュー の章)。


10.8.1. 投入時に確保される分

Job を投入すると、「上限消費ポイント目安」の分がいったん確保されます。確保された 分は、その Job が終わるまで他の Job には使えません。

実行できるかどうかの判定も、この上限の見積もりで行われます。 残高から実行中の Job の確保分を引いた値が上限の見積もりに満たない場合、Job は投入できません。


10.8.2. 終了時に確定する分

計算が終わると、実際に実行した時間に応じた分だけが引き落とされます。上限より早く 終わった場合、確保していた差分は残高に戻ります。

  • 実行時間が 60 秒に満たない場合は、60 秒として計算されます

  • ディスクの使用に対してもポイントを消費します



10.9. 注意事項

  • 実行時間の上限に達した計算は強制終了されます。 大きな系を計算する場合は、 上限を余裕のある値にしてください。

  • 投入した Job は編集できません。 「ジョブを編集」は Status が「Registered」の Job にだけ表示されます。実行し直したい場合は「ジョブをコピー」で複製し、 複製した Job の入力を変更してください。

  • 実行中の Job は削除できません。 「Delete Job」は Status が「Submitted」 「Prepared」「Running」の間は表示されません。終了した Job は削除できます。

  • テナントで無効になっている計算ソフトの Job は実行できません。「Run Job」は 押せない状態になり、「利用中のソフトウェアが無効化されています」と表示されます。

  • 計算ソフトごとの制限や既知の問題は 仕様 の章にまとめています。